すわまえ食堂の岡本っちゃんに言わせると、観る映画は全て素晴らしいと聞こえてしまう。そんな話を真に受けて『日々是好日』を観に出かけた。四日市では上映してないので、東員イオンへ。お客様はおばさんばかり。どうせ中頃で心地よい眠りが堪能できるという期待とは裏腹に、これが素晴らしい作品だった。
このポスターの両空間がいい。
樹木希林が(これがすごい!)、茶道の先生。そこへ黒木華(くろきはる)が生徒で通う。作法を学ぶ中で「どうしてそんなことするのですか?」という理屈に「とにかく作法通りにするものなの。頭で考えないで、自然に手が覚えるから、それまで何度も繰り返すの」と諭す。作法通りに粛々と進めていくと、茶室から外の世界を感じ、四季の移ろいを感じるようになる。
お正月になると「初釜」の会が設けられる。「また今年も同じことの繰り返しと思うけど、同じことが出来るのは素晴らしい事」と話す。
見終わった後、背筋が伸びて凛とした、泰然とした気持ちになった。茶道はその人の生き方に影響するものか。しかし、映画を観たからと言って、茶道をやってみようという気持ちにはならない。若いころ義兄に連れられて茶席の会へ行ったことがある。しびれ切って床柱につかまっていた記憶しかない。