そいつは全身墨を塗ったような、恐ろしく真っ黒な奴だということでした。「黒い魔物」の噂は、もう東京中に広がっていましたけれど、不思議にも、はっきりそいつの正体を見極めた人は誰もありませんでした。
そいつは暗闇の中へしか姿を現しませんので、何かしら闇の中に、闇と同じものがもやもやとうごめいていることは分かっても、それがどんな男であるか、あるいは女であるか、大人なのか子供なのかさえ、はっきりと分からないのだということです。江戸川乱歩著「少年探偵団」より
しかも、遠藤平吉との決戦を控えて諏訪公園に姿を現した魔物は、三体に分身していたのです。これでは平吉も勝てそうにありません!危うし平吉!