来年1月に山田洋次監督の“家族”を上映する。評論家の吉村英夫氏の講演会も同時開催の予定だ。
映画“家族”は、5人の家族が長崎を離れ苦労してようやく北海道へ辿り着くお話。この家族が途中に大阪万博へ立ち寄る。せっかくだからと会場に入ったが、人の多さに圧倒される。
昭和45年3月31日の中日新聞が出てきた。“万博とわが家”と題して岡崎市の宗形洋子さんがコラムを書いていた。
先日久しぶりに、東京に住んでいる妹から便りがあった。テレビを見ていれば、日に何度も万国博とさわがれ、町へ買い物に出かければ、万国博という文字を見なかったことはない。けれど私たちは万国博のバの字の余裕もないと書いてある。仕事を休んで東京から大阪までの運賃と、少なくても一泊の宿賃、入場券、その他雑費まで勘定して見ると、一か月の給料の半分は、とんでしまうという。
我が家でも学校前の子供三人をかかえ、とうてい行けそうもないからと、まるで興味のなかったことだが、きょうも夕食の買い物に出かけ、野菜の高かったことに目を白黒させられた。春がおそいための不作と、万国博のあおりが少しばかり、とのことである。(中略)日本でやるときに行っておかなければ。もう二度と万国博なんて見る機会はないからという人もある。私たちは出不精の夫婦だから、万国博なんかへ行ってたくさんのお金を使い、疲れて帰ってくるくらいなら、家にいて子供に買ってやりたい物も山ほどあるし、厚い肉もバナナも、おなかいっぱい食べさせてやりたいと思う。けれど、そのどっちも出来ない。
その万国博が、こんどは東京で開かれる。