友人に貸そうと思い引っ張り出した文庫本。“植木等伝 わかっちゃいるけど、やめられない!”戸井十月著 小学館文庫
以前にも紹介したことがあると思いますが、改めて書き出してみました。
植木等の父親は伊勢市小俣町の出。若い頃は御木本幸吉のところで働いたり、伊勢市でお寺の住職をしたこともあった。
植木等はよく「六方拝」という言葉を口にした。父、徹誠から六方拝だけは忘れるなと言われていた。では、六方拝とは何か?
「六方というのは東西南北天地のことね。この六方を拝み、感謝する気持ちを持って生きなさいってわけね。
東を向いて拝むときは自分の両親に対してね。自分の両親にも両親がいて、その両親にもまた両親がいるわけだから、つまりご先祖様を敬い、拝みなさいってこと。西は、自分の家族。自分に働く意欲をもたらしてくれた女房や子供に感謝する。南は、自分にとって“師匠”“先生”というべき人に向かって感謝する。読み書きそろばんから始まって、博打から女の道までね。人生のあれこれを教えてくれた先生やら先輩やらに対して拝む。北は自分の友ね。友人知己。すべてに感謝する。そして、天地は自然。太陽があたるのも風が吹くのも、雨が降るのも種から芽が出るのも、これ全て大自然の営み。だから天地に向かって感謝する。
東西南北天地と、合わせて六方に感謝し、いつもおがむようなきもちをもっていきなさいってことね。これを親父はいつも言っていた」