東京のまん中にある有名なデパートで、宝石てんらん会がひらかれていました。
ちんれつ室の正面には、三重県の有名な真珠王が出品した「志摩の女王」という陳列品がありました。それは、とてもりっぱでめずらしい品物で、今から二十年もまえに、東京でひらかれた大はくらん会に、出品するためにつくられたのですが、そのはくらん会で、フランスから日本まで遠征してきた怪盗アルセーヌ=ルパンが、この真珠塔をぬすみ出し、名探偵明智小五郎が、大冒険のすえに取りもどしたという、いわくつきのたからものでした。(黄金仮面に記載)
ある朝のことです。デパートの事務所へ、「志摩の女王」の出品者である有名な真珠王(御木本幸吉?)その人が、ひとりの若い背広の男(技術者 松村)をつれてたずねてきました。真珠王曰く「志摩の女王」の中に傷のついた真珠があるので修理したいと。
ちんれつ室へ入った二人は、修理をするふりをして「志摩の女王」を抱えたまま屋上へ駆けあがり、ゾウの形をした巨大なアドバルーンに乗って空中高く去っていきました。
「少年探偵 灰色の巨人」は、月刊娯楽雑誌「少年倶楽部」に、昭和30年に連載された12作目の作品であります。それにしても、例の老人の正体は怪人二十面相だったのか? <つづく>
昭和30年5月11日、諏訪公園で草野球に興じる子供たち。現在の神社と公園の間。辻さんは、誓の御柱(石山)の建つあたりから東北東に向かってカメラを向けた。しかし、この後ろ姿は、どう見てもオイラとしか思えません。