昭和39年に1番街のアーケード起工式があった。3年後のこの写真は、昭和42年9月である。上下水道の工事だろうか?ひっくり返してえらいことになっている。近年、駅前の市街地も送水管の老朽化で再設置の工事が始まろうとしている。ここは何処か?後ろの店舗から検証すると???
ああ、いい写真だなあ、とつくづく感心してしまう。“ついこの間あった昔”林 望著 ちくま文庫より
「もう1時間もずっとこの写真を見続けているのだが、ここに写されているばあさんと子供たちが、いろいろなことを語りかけてくる。ほのぼのとした写真である。」
おばあさんたちは、こんなに大勢揃ってどこへ行っていたのだろうか。どこかのお寺あたりにでも集まって、念仏講でもしていたのかもしれない。どこかでゆっくりと愉しんできた余韻のようなものが写っている。秋田県山内村の、昭和33年2月23日のスケッチである。
②のおばあさんが、泣いていたらしい双子の兄弟に声をかける。杖で指して「お前が悪い」と言っているようでもある。二人が喧嘩をしているのを遠くで見ていたのだろう。しかし、左のこうもり傘の柄を杖にしたおばあさん①は、優しく「どうした」と声をかけている。おばあさんに叱られた男の子⑦は、泣きべそをかきながら、その困惑を紛らわすかのように指をしゃぶっている。実にかわいい。手前の女の子⑤は、ちゃーんと自分も杖をついて「おばあさんたちの仲間であることを体で示している」この体の構えがいかにもおばあさんと同じ口調で小言の加勢でもしているように見える。恐らく、女の子は、ばあさんたちの会合に加わることが許されていたのだろう。
一体に、田畑の仕事にいそしみ、あるいは自家製の野菜を担いで売り歩いたようなおばあさんたちは、物事に対する態度がはっきりしていた。子どもが悪さをしているのを見つけると、他人の子供であろうと遠慮なく叱った。逆に子供が泣いていると優しい声をかけた。この写真を眺めていると、私たちが失いかけてきたものの重さを、切実に語り掛けてくるような気がする。