1995年12月第48作「男はつらいよ 寅次郎紅の花」をもって「男はつらいよ」シリーズは最終回を迎えた。渥美清逝去(1996年8月)の為だ。
山田監督は第49作「男はつらいよ 寅次郎花へんろ」(高知県ロケ)を企画していたが叶わず、上映予定日だった1996年12月に「虹をつかむ男」を公開している。この映画はまさに、渥美清追悼のための映画だった。
倍賞千恵子・前田吟 両親の反対を振り切りマンションの家を飛び出した吉岡秀隆は、徳島県美馬市でオデオン座を経営する白銀活男(西田敏行)のところでバイトすることとなる。
経営不振にもかかわらず営業を続ける活男だったが、地元の愛好家におしまれつつ劇場を閉じることとなる。
マドンナ役の田中裕子と吉岡との会話だ
「経営者としてはゼロだわね
もうける気なんかあったら
こんな町で映画館なんかやらないわよ」
「じゃ一体何考えて」
「活ちゃんはね
この町の人たちに面白い映画をみせたい
ああ見てよかったなあ
素晴らしい映画を見せて
お客さんの満足する顔が見たい
心からそう思っている人なのよ
確かに活ちゃんは町じゃ変わり者よ
でもね パチンコに使うお金を少し割いて
映画を見て欲しい
あの人の考えは正しいと思う
どこも間違ってやしない
そのことだけは 亮くん
分かった上で 東京に帰ってね」
最後の、活男が運転する巡回上映の車が走り去った後、バスを待つ寅次郎がふと姿を現す。寅さんへのレクイエム。思わず胸がいっぱいになりました。
この映画で挿入された映画
「トイレの花子さん」「ニュー・シネマ・パラダイス」「鞍馬天狗 天狗廻状」「野菊のごとき君なりき」「かくも長き不在」「雨に歌えば」「禁じられた遊び」「東京物語」「男はつらいよ」