身内のみの家族葬が増え、結婚式も「心から祝ってくれる人たちだけで」と簡素化しつつあります。
頭がよくなる 四字熟語 斎藤 孝著 角川書店の中に「冠婚葬祭」力(りょく)の掲載がありました。
冠は、昔でいえば元服、大人になる儀式。婚は、婚礼。葬は、葬儀。祭は、祖先を祭ること。日本人は、古来こうした人生の節目の儀式を尊んできました。
儀式は、心にけじめをつける役目を果たします。心を新たに入れ替え、魂の力を心に刻み込む。節目を心に残る形で迎えることは、とても大事なことです。
儀式というのは手続です。段取りを踏むこと自体が大切です。本来、儀式は厳粛な緊張した空気を以て執り行われ、その空気が魂を引き締めて活力をもたらす効果がありました。伊勢神宮の式年遷宮も、またしかりです。
一生のなかでの大きな節目を真摯に迎え、きちんと人生の節を刻んで生きていくことは、人間の魂の力に敏感になることでもあります。
「死」というものの捉え方もそうです。身近な大切な人を失ったつらさを、通夜、葬儀、という儀式を経る時間の経過の中で徐々に受け止め、此岸(しがん)=現生と、彼岸(ひがん)=あの世 を身体に刻むようになる。
冠婚葬祭力は、真の意味で身につけておきたい力、生きる知恵です。
人生の節目、節目に儀式という緊張が大切である。区切りとしての儀式が人生に活力を与える、斎藤氏はそう言っております。