松山善三監督の“名もなく貧しく美しく”は、昭和36年の東宝映画。秋子(高峰秀子)と道夫(小林桂樹)の二人のろうあ者が、終戦前後の厳しい時代を懸命に生きるストーリーで、事実に基づいてつくられた心洗われる映画です。夫婦揃ってのろうあ者であるため、兄弟に騙されたりして苦労しながら、一児をもうけ助け合って生きていきます。
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ようやく落ち着いた生活をむかえ、ふたりは手話で話し合います。
「僕たちは 幸せですか?」
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「ハイ あなたは?」
「僕はこの頃 家にいると 耳が聞こえるような気がします あなたや一郎やお母さんのことなら 全部わかります 僕はこの家さえあれば どんなに辛いことがあっても生きてゆけます あなたはどうですか?」
「世間の人は 私たちに同情はしてくれても 理解してはくれません 私もこの家だけが天国です」
「僕たちは10年かかって やっと一人前の夫婦になりました 世間のことや政治のことは目をつぶって 二人だけの平和な世界をつくろうと努力してきました
でもこれだけで私たちの努力が終わったわけではありません
これからは一郎のためにも 僕たちのためにも もっともっといろいろな事を 知らなければならないと思います」
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過酷な終戦直後を体験してきたからこそ云える言葉です。