四日市商工会議所様発行の“商工春秋 1月号”の表紙、浮世絵に描かれた四日市より。書画五拾三駅 伊勢四日市旅婦之太々詣
このシリーズは河鍋焼斎など数名の合作であるが、ほとんどが歌川国芳の門人、芳虎の作である。
上部に「陽炎(かげろう)や海にもひらく朝の花」の句とともに蜃気楼が、下部に伊勢参りの婦人二人が描かれる。背後に太々講など講名を記した札が並んでいて、舞台が旅籠であることを想像させる。衣の色を揃える反面、模様を変えていることや身支度をしている女性を見つめる右の女性の表情が興味深い。
この作品は、明治5年(1872)の制作だが、女性の旅行も盛んであった江戸時代の余韻を感じさせるものである。
(市立博物館学芸員・田中伸一)
拙いブログをご愛顧いただき ひたすら感謝でゴザイマス
どうか良いお年を お迎えください