昭和三十三年六月二十二日。諏訪中通リ(現在のすずらん通り)を東向きに、辻 俊文さんが撮った写真。右に諏訪サロン、岩田洋服店、笹井屋、北京飯店。左に岡女寿司、チェリー理容店と並ぶ。諏訪中通りの路地を入ると長屋のような建て方になっていて、連鎖街と呼ばれている。ここには飲食店が多い。長屋は火事でほとんど焼けた。
正面にはスワマエ通りの嶋口屋が見える。嶋口屋横の路地からあふれ出た人の群れは、諏訪中通りを忙しく諏訪駅へと向かう。靴音に混じって、北勢堂からはカントリーウエスタンの曲が流れてくる。梅雨の合間から覗いた夕日が長い影を引いて行く。
北京飯店のテイクアウトにまんとう、しうまい、中華すしの文字が
昭和三十三年三月十五日。諏訪中通リ(現在のすずらん通り)
北京飯店、笹井屋、岩田洋服店と並ぶ。北京飯店の場所には戦後、数年間、白揚書房があった。笹井屋は二階が高級レストランだった。
夜の街路は、春の訪れを告げる雨に濡れている。自転車の同業者と話をする店主。勤め帰りの人も立ち話をしている。どこかの店へ食事にでも入るのか?自転車とスクーターが目立つ。自動車の普及にはまだ期間がある。私の父も配達のほとんどがスクーターで、大きな品物は運送屋に頼んでいた。お客様から祝儀の出る仕事に運送屋さんは喜んで来てくれた。
香蘭の中華店が写っている。連鎖街の床屋チェリーから北へ入った路地。花月さんは現在も開店中だ。