次回上映は“男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇”です。寅さんとリリーの相合い傘以来の登場です。作品は1980年(昭和55年)8月公開された第25作の特別編です。第15作“寅次郎相合い傘”では、船越英二と旅していたところ、小樽の屋台でばったりリリーと出くわし三人旅が始まります。そして、北海道で喧嘩別れした後、柴又へ帰ってからの“寅のアリア”。「静かに緞帳が上がるよ。そしてリリーの歌がはじまる。リリーの歌は悲しいもんね」。最後、小津監督の“麦秋”を彷彿とさせるさくらの説得。しかし、ふたりの想いとは裏腹な結果となり、リリーは去りました。嵐の夜から5年、沖縄で過労の為倒れたリリーのことを知った寅は、苦手な飛行機に乗って奄美大島へ飛びます。
最初、山田監督から浅丘ルリ子への役の案は、北海道の牧場で働く女性でした。そこで、「私、こんな細いからだをしているんですよ」と答えると、キャバレー回りの売れない歌手リリーに変わっていたそうです。放浪を続ける寅とリリーの相性はよく“男はつらいよ”シリーズで4回を数えるに至りました。第48作“寅次郎紅の花”では、元気のない寅さんでしたが“寅次郎ハイビスカスの花 特別編”では、リリーとの掛け合いが楽しく、寅さん元気いっぱいの作品に仕上がっています。男はつらいよシリーズでベストワンの評価が高い本作品をどうかお楽しみください。