第34回 三番街と氷冷蔵庫
昭和32年頃の三番街周辺
昭和43年の三番街周辺
右の位置に諏訪神社と諏訪公園がある。43年になると、神社を背にした店舗名が明確になった。中央を南北に走る路地は、連鎖街と呼ばれていて、階下は飲食の店が多く、中央に階段があって上がると長い廊下が伸びていた。2階は長屋状の住まい。
お袋は“新もの喰い”だった。田舎から町へ嫁いだことが自慢だったのかもしれない。洗濯機は、丸い形から絞り器の付いた二層式まで使っていた。テレビは高価だったせいか遅かったが・・。
氷冷蔵庫が我が家に来たのは、昭和30年の初めころだった。毎朝氷屋さんが氷を配達してくれる。二貫目の氷を鍵のようなものに挟んで、家の中をサーっと通っていく。暑い夏は随分小さくなってしまっていた。さて、氷削り器を取り出し、上の段に入っている氷をガシガシとカンナのように削る。そして、はちみつやサイダーをかけて食べる。夏休みなどは絶えずやっていたから、下の段はあまり冷えなかっただろう。氷削り器が手に入るまでは、氷を割って布巾に包み、金づちで砕いて食べた。
下の段には三ツ矢サイダーが入っている。これも近所の酒屋さんがガチャガチャとケースで運んでくれる。冷えたサイダーをコップに注ぐと、シュワ―ッと泡が出た。よく飲んだ。バヤリースオレンジは、量が少なかったのでハレのときだけ買い求めた。
やがて“渡辺のジュースの素”が発売される。「ホホイノホイッともう一杯 渡辺のジュースの素です もう一杯」と榎本健一が宣伝していた。冷蔵庫から冷えた水を取り出し、粉末の入ったコップに注ぐと泡が出てくる。オレンジやメロン味のジュースを、これもよく飲んだ。