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Channel: 花の四日市スワマエ商店街
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閑話休題 イザベラバードの旅②

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宮本常一氏は「日本奥地紀行を読む」でこう書いてみえます。

プライバシーがほとんど問題ではなかったということは、逆にお互いが安心して安全な生活が出来たということです。我々の生活を周囲から区切らなきゃならない時には、すでに我々の生活が不安定になっているということです。

また、イザベラバードが、各地を訪ねていたるところで書いていることは、店が開け広げているということです。日本の店とは“見せる”ことだったのです。それは品物を見せるだけでなく、仕事を、作っているところを見せた。見ると安心して買えたし、声もかけられたわけです。

戦後、物はウィンドウへ並べられて、人間が奥へ入り込んでしまう。その時に日本の伝統工芸が滅び始めたのだと思うのです。自分たちで作っているところを見せなくなってしまい、見せないことが良いことだと思い始めた。小ぎれいに作った商品が店先に並べられ、ショーウィンドウ時代が続いていくのです。

ところがこれが少し破れ始めています。日本で古い食べ方を残したのがにぎりずしで、調理しているところを見せたほうがよく売れるようになってきた。すると、物を売る場合でも同じことが考えられるのではないでしょうか。

これから先、もう一度元のような店が復活し始めるのではないか。少なくとも小さな店の場合、こうした日本人の中にある人間関係を抜きにしては成り立たないのではないかと考えるのです。

工房型店舗が見直されていることは事実です。ところが今回のコロナ災禍で、人と人との接触に黄信号が出ました。けれど、安全信号の出る時代は近いうちに必ずやってきます。工房型で人と人との交流が生まれるような店舗が、小さなお店にとって武器であるのかもしれません。まちゼミもまた、その一環だと思います。

 


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