本町商店街から国鉄四日市駅の開かずの踏切を超えると、右側にロマン座があった。小さい映画館で3本立ての洋画再映が多かった。
ロマン座は、海軍燃料廠の旧軍人グループが、ひと稼ぎできる映画興行に乗り出し、三重劇場に次いで建てた劇場である。小学生の頃に行った覚えがあるので昭和30年代にはあった。閉館は昭和40年である。
当家の横に看板が並んでいて毎月招待券が手に入る。土曜日の夜は、仕事を早めに切り上げた父親と映画館に足を運ぶ。17時ごろには夜の部が始まるから、16時30分には店を出て諏訪新道を歩いた。
上映された映画で印象に残るのは、アメリカ映画の怪獣ものである。『大アマゾンの半魚人』『原子怪獣』『宇宙戦争』『トリフィドの日』『禁断の惑星』そして、放射能で巨大になったクモやトカゲなどのポスターが目に浮かぶ。外人の女性のセミヌードが見られたりして、おませな小学生がワクワクする作品が多かった。
『大アマゾンの半魚人』は、昭和29年のアメリカ映画。ショートパンツ?姿の美人が出て来るが、今見ると、別にどうということもない。半魚人もおどろおどろしいと思っていたが どうということもない。感動が薄いということは、悲しいことであります。