図書館にて、珍本発見である。『郷土秘話 港の出来るまで 稲葉三右衛門築港史』
真っ黒で字が読めまへん!貴重本です!
150ページほどの薄い本。テープによる修理が施されていて、発行は昭和31年11月3日と古い。著者は三重公論 大島重敬。 浜田の弘運館で印刷されている。挨拶文も著名な方が並んでいて、三重県知事 田中 覚・四日市市長 吉田勝太郎、大蔵政務次官代議士 山手満男、他に市議会議長、四日市港振興会長と並び、当時の商工会議所会頭 伊藤伝七も寄稿している。
昭和31年 伊藤伝七氏による寄稿
さて“・・秘話”にふさわしい内容が出てくる。
夜遅く、回船問屋の稲葉三右衛門宅の戸を叩くものがあった。
「誰です、今頃何の用だすやろ」と内から声をかけた。
「船頭の利助です。ちょっと開けておくんなされ」
番頭の定七が表戸を細目に開ける途端に、利助と頬被りした男がいきなり飛び込んできた。一人は渡世人の庄太夫と名乗った。
「実は旦那さんに是非お願いせにゃならん急用ができましたんでナァ。是非今夜中に向い地の吉良まで船を出してくれと頼まれましたんや」
「船を出せというのは渡世人か?」
「へぃ、三河の仁吉親分に、清水港の次郎長の子分衆、大政、小政、大瀬の半五郎、法印大五郎、小松の七五郎、大野の鶴吉、桶屋の鬼吉です。」締めて33人である。
“決戦荒神山 監督:金田繁 大伴麟三・出演:月形龍之介 1932年 サイレント
「実は先だってから、神戸(かんべ)の長吉(ながきち)と桑名の穴太(あのう)の徳次郎の間に、縄張り争いが起こりまして、今日お昼の牛の刻から夕刻の六ッ時まで境の荒神山で大喧嘩がありましたが、この出入りで、吉良の仁吉が大怪我をしましたんで、お役人や穴太徳方のものに見付からないうちに、三河へ帰りたいと、こう申しますんで、へい。」
廣澤寅蔵の浪曲で有名な血煙荒神山である。 明日に つづく!!!