“大人のロマンと子供の科学”赤瀬川原平 著より
1960年代(昭和35年以降)、つまり 団塊の世代が成人に近づく頃です(私達・・・)、大学生が電車で漫画を読んでいるといった時代がありました。大学生というと最高学府に行くという印象が残っている頃です。漫画の代表は、白土三平の「忍者武芸帖」でした。60年代アンポを経てきた当時は、学生運動が盛んで、アメリカ支配をひっくり返してあわよくば革命でも起こしてやろうという風潮が渦巻いていた。「忍者武芸帖」はその期待に応えた漫画でした。噛みしめた濃厚な味は ほとんど小説であり、その展開するスピードは ほとんど映画であり、にもかかわらずその実態は 身軽なマンガであることによって、その脳髄による消化能力はいずれをも凌いでいました。しかもそのドラマの中には60年代アンポ闘争にくすぶる反権力のエネルギーがそっくりそのまま格納されていたのです。(短いけれども・・・つづく)