さて、膳に並ぶ料理です。
小菜:海胆蒲鉾(ウニかまぼこ=白身魚のすり身にウニを加えて練ったもの)・鶉胡麻蒲鉾(うずらごまかまぼこ=鶏肉のすり身に炒った胡麻を混ぜ、蒲鉾風に蒸しあげたもの)・紅白花形薯蕷(しょよ=ながいもを花形に切って、紅白二色の甘酢に漬けたもの)・結牛蒡白胡麻あえ(茹でたゴボウを結び、ゴマと白みそと豆腐ですり混ぜたもの)・海老よせもの(えびのすり身を葛粉で固め味付けして丸めたものが蒸してある)・椎茸しんじょ(魚の白身をすり潰し揚げたり蒸したりしたものに椎茸が入る)
吸物:鯛の皮付しんじょ(タイのすり身におろした長芋を加え、薄く切った皮の付いた鯛で丸めて蒸したもの)・葉防風(焼き魚)・赤みそ
酒燗:切子の瓶に入る
なます:鰹(生のカツオを細く切り酢に漬けたもの)・胡瓜(きゅうり)・独活(うど)・大根おろし・かけ醤(ひしお=豆腐と麦麴を醤油に付けて発酵させた日本古来の調味料)
茶碗:青鷺(あおさぎ)むしり菜(江戸時代は様々な野鳥が食用として売られていた。鴨・雁・雉・雲雀(ひばり)・鶴・鷺・雀・鶫(つぐみ)・鶉(うずら)ほおじろ等
小菜:鯛赤みそ入むし揚(よく洗った小鯛に赤みそを詰め、蒸したのち油で揚げたもの)
碗盛:玉子しんじょ・わらび・塩はつたけ・うす葛
飯:ごはん!
香の物:茄子白瓜切漬
この料理松竹梅の竹クラスである。料金は一人前金百疋(ひゃっぴき)=千文。一両(10万円とする)は六千文。10万円を6で割ると、百疋は約16,700円になる。因みに“梅”クラスは百疋半、“松”で二百疋、泥亀(すっぽん)付きである。凝りに凝った料理の数々ですが、現在とあまり変わらない気も致します。基本は江戸時代に完成していたのでしょう。