昔は四日市湊から蜃気楼なるものが望めました。そしてそこにもひろ助が!見物に来ていた菰野城主の土方雄永(ひじかたかつなが)もびっくり!
番頭さんと杢兵衛さんの二人は、膳棚担げたまま泣きだした。次に目を覚ました三番番頭の久七。これがまた井戸の淵に乗ってターザンみたいに天窓の紐にぶら下がり、弾みをつけて駆け上がろうとした。ところが女子衆(おなごし)さん、来たばかりで勝手がわからん、天窓閉め忘れてまして、括ってあった紐がするスルー スルーッと伸びて久七は紐をつかんだまま井戸の中へボチャーン!
番「だれや、井戸の中にはまりよったでぇ」
久「そこでお声が致しますのは、番頭さんと杢兵衛さん。ちょっと上げてもらえまへんやろか」
番「そうもいかん。こっちはふたりで膳棚担げとるんじゃ」
久「おたくは命に別状ないでええけど、わたし泳げませんのや」
番「あかーん 御寮人さん起きて来やはった。逃げられへん。こうなったらいびきかいて寝よ」
二人は膳棚担げたまま寝たふりをして グーッ
寮「何をしとんのや。天窓の紐が井戸の中に入ってるやないか。まあ久七、お行儀の悪い。ちょっとお店の方呼んであげるよってにな。ちょっと番・・・まあまあ、お店総出やないかいな、番頭はんに杢兵衛どん、膳棚担げて何しとんの?」
杢「宿替えの 夢を見ております」(宿替え=引っ越し)
ご清聴まことにありがとうございました。お気をつけておかえりください。