富田の焼きまぐりを食して、弥次さん北さんは四日市宿へ向かいます。
それより富田を出立、羽津村八幡を通過、七つや(?)阿倉川にいたりし頃、四日市の宿引きでむかいて「これはおはよう(お着きで)ございます。私どものお宿をお頼みもうします」弥次「わっちらア帯や(本陣と脇本陣のこと?)へ行きやす」宿引「イヤ今夕は、お大名様、お二組お泊りで、帯やは両家とも差支えがありますから、私方にお泊り下さいませ」と客引きの嘘に乗せられて、むさ苦しい宿のしかも他の客との相部屋に泊まることとなる。
早々に北さん風呂に入る。このころ、部屋にはこどもの物売りが「おたばこは入りませぬか。楊枝はみがき、お鼻紙はよろしゅうございますか」と言って入って来ています。
物売りへのひやかしが終わって、北さん「サア弥次さん、湯に入らねえか」女「あなたおめしなさりませ」弥次「イヤ大分なまめいた女がちらつくぜ」北さん「今の女をふろ場で、ちょっと約束してきたから」弥次「そりゃ本当か」北さん「俺が湯につかっている所へ、おぬるくはございりませぬかといって、やってきたから、すぐそこで約束した。まだ一人いい年増が居るから、お前湯につかって待っていなせえ。大方そこへ来るには違えねえから、そこで交渉するがいい」
弥次さんが湯に居ると、そこへも物売りが来る。ハイ焼酎は入りませぬか、白酒入りませぬか」 つづく