「説明会、終わりました。少し反対はありましたが」
「反対はどこでもあるものさ。面倒だが作文をして、自治会と商店街へ出しておいてくれ。準備はすっかり出来ているんだ。一日でも工事が遅れるようなら賠償金を請求すればいい」
「1階部分に関しての質問が多かったようです。エントランスと駐輪場、後は共有部分ということでごまかしておきましたが」
「時間が過ぎればどうでもよくなるよ。中央通りからの導入も簡単だ。現に今、車を乗り入れてるじゃないか。そのうち、上の住民から“広いスペースがあるのに、なぜ駐車場にしない!”と苦情が出て、しぶしぶ駐車場にすることになるさ」
「行政は何か言ってくるでしょうか?」
「あれば去年のうちに何らかのコンタクトがあるはずだ。何年間空き地のままにされていたと思う。ようやく空き地が埋まるとホッと一息というところだよ」
「市も他人の土地にあれこれ言えないと、おおやけの席で言ってたそうです」
「難所は通過した。着工まであと三月しかない、早速、取り掛かってくれ」
「承知しました」
下手へ去る。窓の外はあいにくの雨
“雪にならずに良かった“とタバコに火をつける 暗転