加藤幹郎氏は著書の中で“妻殺しは本当に起きたの?ジェフの単なる考察にすぎないんじゃないの?”と問いかけていて、内田氏は“ジェフの住むアパートは全く人気がない。これは何を意味するのか?”を挙げています。
最初、三枚のブラインドが上がり向かいのアパートが現れます。本作の舞台である風景、ブラインドは劇場の幕です。ジェフと私たちは暗い場内(こちら側のアパート)から向こう側の物語を鑑賞しているのです。ジェフの住むアパートに人気のないのは当たり前。劇場内の我々の世界だからです、と思います。
スクリーンの向こう側、向かいのアパートを現実と混同し、起きてもいない(と思われる)殺人事件を実際にあったなどと言うものではありませんよ」監督は語っているようです。「それごらんなさい。最後は映像を飛び出して、こちらへやってきたではありませんか」
現代のネット社会への警告、と捉えるのは深読みのしすぎでしょうか?(多分 シスギ です)
ま、おもしろい映画です。はじめと反対に、3枚のブラインドは閉じられて、この映画は終わります。