是枝裕和監督の“海街diary”が、第39回日本アカデミー賞最優秀作品賞に選ばれた。まずはおめでとうございます。
鎌倉は江の島の古い家に住む三姉妹は、放蕩の父親の死をきっかけに腹違いの妹を引き取り、四人で生活を続ける。肉親や知人の死を体感しながら姉妹がしっかりと繋がって生きていく姿は、健気で美しい。鎌倉に住み、朝ごはんを食べ、電車に乗るところは、小津安二郎監督の“麦秋”を思い出させるが、かたや晩年と結婚、家族の崩壊が描かれているのに対して、この作品は、将来の不安に負けずに力を合わせて生きる女性像が清々しく描かれている。
脇役のリリーフランキーもとても味のある良い役をこなしている。
是枝監督の“誰も知らない”が監督を知ったきっかけでしたが、この作品も親に捨てられた子供たちが、先の不安に負けることなく生きていく後ろ姿で終わっていた。この二作品は、淡々と自然に日常を送っていくという点でとてもよく似ている。まさに監督の真骨頂なのだろう。
自然の演技を引き出すため、下の妹のすず(浅野すず)には台本が与えられなかったという事だ。カチカチに固めた小津監督の撮影法とは全く異なる。又これはこれで味のある作品でゴザイマス。“誰も知らない”も子どもたちに台本は渡されてなかったと想像されます。