映画会の常連さまから“人民中国”という雑誌をお借りしました。
ここに、第6回北京国際映画祭の審査員に招かれた“おくりびと”の監督 滝田洋二郎氏が、インタビューに答えた記事が掲載されていました。
日本は人の死を忌み嫌う傾向がある。作品の主人公は死体と交流する人で、これは多くの日本人が受け入れたくないものでした。人々はみな自分が将来死に直面することを見たいとは思わず、これを避けたいと思うのです。しかし死は実は身近な生活の中でいつでも起こり得ることですが、人々はやはりこれが自分から遠く離れていてほしいと思っています。このため、日本ではこの作品のテーマは禁忌となっています。作品は出来上がってから一年余り、ヒットしそうもないと、どの会社も公開しようとはしませんでした。
2001年のアルカイダによるニューヨーク テロ事件や世界経済の悪化、自然災害など不安要因が次々と起きて、人々は何を信じていいか分からなくなってきました。こうした時代背景の下、いったいいかに家族、友人、愛する人と付き合っていけばいいのか?自分が生きる意義は何か?人は泣きながらこの世に生まれ、泣きながらこの世から去っていきます。人の終局の意義はどこにあるのか?人生はたやすくはないが、どの人も「生きてよかった」と言います。この作品は温かさに満ちた物語でこうした問いかけに答えていると思います。