Quantcast
Channel: 花の四日市スワマエ商店街
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2334

商工春秋より 幕末の四日市

$
0
0

四日市商工会議所様発行“商工春秋より 浮世絵に描かれた四日市”6月と7月号の二カ月分を掲載させていただきます。

末広五十三次 四日市

慶応元年、第二次長州征伐のために上洛する将軍家茂の行列を各宿ごとに描いたシリーズの一点。このシリーズは国貞以外に歌川広重(二代)、歌川国輝(二代)、月岡芳年も分担して描いている。葵紋がなくても源氏の家紋(笹竜胆)の錦の御旗から、この行列は、家茂一行とわかる。実際に家茂は、この時、美濃路を使ったので四日市を通っていない。従って蜃気楼を見物することはなかった。水平線に浮かぶ空や吹き流し、ひと際大きい鯛などの赤と海と青の対比が鮮やかな景色である。(市立博物館学芸員 田中伸一氏)

 東海道四日市

徳川家茂の上洛は、江戸の人々の高い関心集めたようで、いくつものシリーズが作られた。本シリーズは、歌川芳艶の筆によるもので、四日市は湊を右手に、土橋を渡る行列が描かれている。同様の構図が広重の「五十三次名所図会四十四」にもある。人物が大きく描かれているため、行列の整然さが際立つ。橋の各所に架けられたかがり火から、夜明け前の風景であることを想像させ、それに呼応するように、橋脚や家々が濃淡のある灰色で暗く表され、港に停まる船は皆シルエットになっている。しかし、主題である行列に影がないため、画面全体が昼間のような明るさを感じる。洋画の技法とは異なる日本の絵画らしい陰影表現といえよう。行列とかがり火や鉄砲が対角線を作り、色彩だけでなく構図の上でも興味深い作品である。(市立博物館学芸員 田中伸一氏)


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2334

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>