Kさんからの感想です。ありがとうございました。
自分にはどうしても分かりません。何故、寅は振られてもいないのに、自分から放浪の旅に出なくてはいけないのでしょうか?志村喬(博のお父さん)に言われて、定着(結婚)を決めていながら、流浪の旅に出ていく。
(男女の機微にうとい自分ですが)マドンナの池内淳子も、多分プロポーズされたらOKしているのではないかと思います。(子供もなついているし・・・)
観たびに感じるのですが、この寅さんシリーズは山田監督による観光PR映画のようです。毎回各地の素敵な風景、祭り、風習等、行った事のない、見た事のない数々のことを教えてもらえる映画です。シリーズ全部観ておりませんが、この企画の映画会ですべて観てみたいものです。
ある人に言わせると、寅さんが結婚にイエスをしたら“男はつらいよ”シリーズが終わってしまうということです。“寅次郎恋歌”では「寅さんみたいに放浪の旅に出たい」と話す池内淳子に「俺みたいなものとふらついていては、あなたが幸せになれるはずがない」。そんな思いで立ち去ります。
次回上映の“寅次郎相合い傘”では、仲を取り持つさくらが、リリーさんに結婚を勧め、それに対してリリーはイエスを言う。そこへ寅が帰ってくるのですが、ちょっとした行き違いからこの話は壊れます。どうしてそうなったのか?映画のラストで寅は吐露します。ご期待ください。
このシリーズが長寿であった秘訣のひとつに、各地のロケがあります。それも下町やひなびた田舎、学校等生活臭があふれる地域が多く出てきます。
“恋歌”では博の生家である岡山県高梁(たかはし)がロケ地になっています。すごい音と煙で通過するSL、汽車を横目に自転車で帰路を急ぐ女学生。汽車が走る日常。昭和の時代が郷愁を誘います。
“相合傘”では、函館、札幌、小樽が舞台です。観光地ロケの様相ですが、観光で訪れた方には懐かしい風景でしょう。それも40年前の景色です。山田監督は観光地をロケしてもそこに生活する人々を捉えています。12月上映の“寅次郎物語”では、和歌の浦温泉で、寅を待つ少年秀吉が眺める景色に、旅館で働く女性が階下の子どもに声をかけるシーンがあります。お客さんを送り出して一息ついた温泉街に、働く人の日常が垣間見えます。今月上映の“寅次郎相合い傘”、12月上映の“寅次郎物語”にご期待ください。