“伊勢音頭恋寝刃”で、御師のことを“おし”と読みましたが、正確には“おんし”でした。NHK“ブラタモリ”。“なぜ式年遷宮は20年に1度なのか”は、知的好奇心を刺激し、旅の楽しみが味わえる番組です。
番組では、御師であった丸岡宗太夫邸を訪れています。ここには、当時、恩師が全国へ配って歩いたお土産の“きざみめかぶ”の説明書きや“お札”の版木が残っていました。御師に案内された一行は、料亭でごちそうを食べ、巫女さんの舞を観覧します。何とかかった時間が6時間。十数名の一行で支払い金が約600万円というありさまです。一生に一度の大贅沢だったんですね。
ところで“なぜ式年遷宮は20年に1度なのか”それは、白木造りの拝殿が20年しか持たないというところからきていました。釘やかすがいを一切使わない神明造り。本殿を見ることはできませんが、近くに建つお供え物を貯蔵する“御稲御倉(みしねのみくら)”に見ることが出来ます。
地面から立つ太い丸柱“棟持柱(むなもちばしら)”は、直接屋根を支えていません。柱と屋根には隙間があいています。支えているのは丸柱に渡された壁板です。年月が経ち、木が乾燥していくにつれ棟持柱と屋根との隙間は、屋根の重みで縮んでいきます。約20年経つと隙間はなくなり、その頃が壁板に老朽化が始まる頃となります。白木の神明造りの賞味期限が20年ということになる訳です。
注目すべきは、伊勢の街は20年という式年遷宮の節目を利用して、街の活性化を行ってきたということです。道路整備や宇治山田駅の建設、おはらい町の整備やおかげ横丁の構築など来街者を飽きさせないよう、何時も伊勢神宮を軸に、新鮮なテーマを提供してきました。
だらだらと同じことの繰り返しではお客様に飽きられる。絶えず新しい風を加えることで鮮度を上げていく。大切なことです。
今年は、お伊勢さん菓子博が開催されますし、20年後の式年遷宮に向けて伊勢駅前の整備事業が進んでいるということです。