すずらん通り その2
昭和33年6月22日。諏訪中通リ(現在のすずらん通り)を東向きに、辻 俊文さんが撮った写真。右(南側)に諏訪サロン、岩田洋服店、笹井屋、北京飯店。左(北側)にチェリー理容店、岡目寿司、松永金物店、北勢堂と並ぶ。
諏訪中通りの路地を入ると長屋のような建て方になっていて、連鎖街と呼ばれていた。最近、服部氏からこの長屋は軍の宿舎を移築した建物であることを聞いた。ここには飲食店が多い。中央に少し広い階段があって、木造の階段を二階に上がると小さな住まいが並んでいた。その後、この建物は漏電が原因ですべて焼けた。
嶋口屋横の路地からあふれ出た人の群れは、諏訪中通りを忙しく諏訪駅へと向かう。靴音に混じって、北勢堂からはカントリーウエスタンの曲が流れてくる。少しの間、眠っていたようだ。遊びに来ていた正ちゃんは帰ったのか。梅雨の合間から覗いた夕日が長い影を引いて行く。
連鎖街は、やがて夜を迎える。