江戸時代後期のお金の価値を、お米で換算してみましょう。
(宝島社新書 カラー版 “江戸の家計簿” 磯田道史 より)
1両は米1石買うことが出来ました。これを基本で考えると1両=1石(150キログラム)です。今の米の価格に換算すると5〜6万円位でしょうか。ところが現在と比べて江戸時代は食糧難の時代でした。お米の価値が高かったわけです。大工さんが1両稼ぐには、20日働く必要がありました。今の大工見習の日当を1万5,000円とすると、15,000円×20日で30万円が1か月の収入ですから、お米1石は5〜6万円どころか30万円の価値がありました。飢えた人の多かった時代、食料は労賃の5倍あった訳です。
換算すると、1石=1両=銀60匁=銭4,000文=63,000円(現在の米の価格から換算)=300,000円(現在の収入から換算)となります。食べ物と収入の換算に差があるので、頭の悪い老人(私)にはピンとこないところがあります。売値63,000円の食べ物を買おうとすると、300,000円(20日間の労働分)持っていかなければ売ってくれなかったという事でしょうか。
で宿泊費ですが、江戸時代の旅籠賃が1人35文ですから、現在の価格で2,600円(馬も同じ)、召使の17文は1,300円程です。あまり安くはない感じがします。ちなみに、うどんとそば1杯16文で約250円、屋台の天婦羅1串63〜95円、握り寿司1貫8文で125円、どじょう汁1椀16文で250円、茶飯1椀50文で790円、田楽1串2文で132円、鰻丼200文で3,150円になります。砂糖が高価だった江戸時代は、1升(1,5キロ)が4,200円もしましたが、桜餅は1個4文(63円)で庶民的な値段でした。
桜餅を下げて隅田川の堤防を歩く女性の姿が描かれた浮世絵があります(“江戸自慢三十六景 歌川広重)。