石薬師寺は、弘法大師作と伝わる石造りの薬師如来がご本尊です。手前田圃道を左上へ辿っていくと、寺の門が見えてきます。馬子が武士らしき客を乗せて、寺の前を通り過ぎます。この左右の道が東海道にあたります。
山門の前に、紫色の標柱が立っていますが、本来は石造りのはずが、広重は良く目立つように紫に仕上げました。
石薬師寺がごく小さく描かれていますが、これは、風景描写に力点を置き、秋の澄んだ空気の描写を優先するためだったのでしょう。寺の背景には濃緑色の山があり、その後ろに墨色の山、そして遠景に藍色の山が見えています。山を幾重にも重ねて描くことで秋晴れの空気の透明感を表現しました。
現在の山門
本堂