懐かしい模型飛行機づくりの記事が掲載されていましたのでご紹介します。
「私の模型初体験は、学校の授業で作った飛行機模型です。昭和17年、小学2年生の夏でした。戦時中は文部省の指導で、戦艦や戦闘機の模型作りが含まれていました。学校教材が模型作りへの入り口だったのです。」田宮俊作著「田宮模型の仕事」文春文庫より
遊び道具の少ない時代だったので みんな大喜びでした。部品の入った紙袋が配られ、開封する級友たちの目は輝きに満ちていました。
胴体はひのきの棒です。その先端に錘(おもり)となる材木を付けます。らっきょうを半分に切ったような形で、角ばった部分を小刀で削り落とし、まるみをつけて接着します。翼の枠組みは竹ひごです。そこに、ヤマトのりで薄紙を貼ります。授業中にはできないので、宿題となります。家に帰って早速つづきに取り掛かりました。
気を付けないといけないのは翼の部分です。竹ひごをろうそくの火であぶってたわめていくのですが、これは根気と集中力が必要な作業でした。曲げる部分をなめて濡らし、少しづつ少しづつ、たわませていくのです。
ロウソクの火の先っぽ。そこがいちばん温度の高い部分です。竹ひごの両端を持ち、軽く力を入れて曲げ、火に触れるか触れないか、近づけすぎぬよう、こがさぬよう、慎重に進めていきました。全神経を集中させただけあって、ひとつめの翼はうまくできました。まっすぐだった竹ひごが、火にあぶられることで軟らかくなるなんて、大発見をしたような気分でした。
すっかり得意な気持ちになり「翼づくり」を再開しました。しかし、休まず続けたのがいけなかったのでしょう。もう少したまわせればOKというところで、ミシリというイやな感触を指先に感じました。
やっぱり竹ひごを曲げるところで失敗するのは 私ばかりではなかったようです。