戦後の高度経済成長期は、昭和29年から田中角栄第二次内閣の昭和48年までといわれています。まさに、昭和39年は、高度成長真っ盛りといえます。そうです、この年10月、新幹線東京大坂間が開通し、東京オリンピックが開催された年でした。まだカラーテレビは珍しかった時代でした。四日市では、伊勢湾台風で消滅していた“四日市まつり”が、8月1日の“港まつり”をバージョンアップさせて開かれました。以降、“大四日市まつり”は8月の第1土曜と日曜日になり、9月の諏訪神社のお祭りは商店街が“秋の四日市まつり”として開かれるまでは、神事のみとなっていました。
ひばり書房から出た“山本まさはるシリーズ”は、全40巻を刊行するヒット作となりました。お人好しで正直者の中村正を主人公に、昭和40年頃の中学生、つまり戦争を知らない戦後世代の平和で素朴な学園生活が、感受性豊かに表現されていて、後の“学園もの”に影響を与えました。
矢代まさこの『孤島の夢路』は、若木書房から刊行された“ようこシリーズ”の第1話。このシリーズは27巻まで続き、1冊完結ですべての主人公の名が“ようこ”になっています。さまざまな“制度化されていない”人間としての少女を主人公に、コメディ、ファンタジー、ロマンスなどあらゆるジャンルが描かれていて、「別冊太陽」では“少女マンガの実験場”と評されていました。
佐藤まさあきがプロダクションを設立、創刊した少女貸本マンガ誌『花』は、衰退していく貸本マンガ界の中にあって、個人の出版社が発刊しました。
辰巳ヨシヒロも「第一プロ」を立ち上げ貸本出版で『青春』を創刊しました。
貸本出版社を営んでいた長井勝一が『月間ガロ』を創刊、白土三平を中心に貸本マンガ家に活躍の場を提供するため発刊しました。「ガロ系」の執筆者として、佐々木マキ、滝田ゆう、つげ義春、林静一、永島慎二らが活躍しています。これから、漫画界は『ガロ』と『COM』の時代へと移っていきます。