四日市商工会議所様発行の“商工春秋 11月号”の表紙を飾るのは、“東海道五十三次対 四日市 歌川国芳画”です。解説は四日市市立博物館学芸員の田中伸一様です。
東海道五十三次対は、歌川広重、歌川国芳、歌川豊国が各宿場を分担して描いたシリーズ。
口を少し開け、頬杖を突く若い女性が大きく描かれ、背景の水平線上に、旗を立てた楼閣が、いくつも並んでいる。左上の雪輪形の枠に那古海蜃楼(なごのうみかいやぐら)と題して蜃気楼の名所であった。ここでは伊勢神宮の神が、熱田神宮に向かう様子と述べる一方で、湖水の気が太陽に乗じて立ち昇るもので、陽炎のようなものだとも述べている。
若い女性は浜辺にしゃがんで蜃気楼を眺めている。黒髪が風になびいて少し乱れているのは、そのためである。