そして、“東京家族”の最後。次男の昌次(妻夫木聡)と恋人の紀子(蒼井優)は、周吉(橋爪 功)の世話をした後、東京へ帰る時を迎えます。
「私達 1時のフェリーで帰りますから 長い間お邪魔しました お父さん どうぞお体大切に そして お母さんの分も長生きしてください じゃあ」
「ちょっと」
「はい?」
「ま 座ってください」
「紀子さんと呼んでいいですか?」
「はい どうぞ」
「あんたは いい人だね」
「ええ?」
「母さんが昌次のアパートに 泊めてもろうた あくる日 幸一の家に戻ってきて“よかった よかった 昌次はこれで安心”そう言うて その訳を私に話す前に 死んでしもうたんじゃが 母さんの気持ちが 今なら私に よう分かります 幸一や滋子たちがバタバタと東京へ帰ったあと 3日も4日もいてくれて 何ひとつ嫌な顔をせずに 気持ちよう私の世話をしてくれて 本当に ありがとう」
「気持ちよくなんて そんなことないんです 本当は私 ここに来たの 後悔したくらいなんですよ なんだか窮屈だし 仕事も気になるし 嫌な顔一つせずになんて そんなの・・・そんなの嘘です」
「正直じゃのう あんたは 本当に いい人だ」