市川準監督の“トキワ荘の青春”は、わたくしの最も大切な映画の一本となりました。で、引き続き市川監督の“つぐみ”(1990)を鑑賞したところ、
冒頭、“まりあ”(中島朋子)が銀座で“二十四の瞳”を観るシーンがありました。銀座文化ゴールデンシアターというところですが、看板の日本映画名作特集シリーズの中に“本日休診”が入っていました。
1952年作品の“本日休診”。監督は渋谷実で、看板に主演 三国連太郎とありますが、柳永二郎が主演です。出演作品には悪役が多く、インパクトがなかったせいでしょう。
“本日休診”は、終戦直後の風景や風俗、人情が興味深く描かれていますが、なによりも俳優陣がそうそうたるメンバーで驚かされるのです。
三雲医院老先生に柳永二郎。そして、そこの看護婦に岸恵子。
病院の家政婦さんに長岡輝子、その息子に三国連太郎。
三雲医師に恩がある、佐田啓二。
町のチンピラに、鶴田浩二。男に惚れている、淡島千景。
このメンバーが揃うのは、最初で最後だったと想像できます。みなさん若くて、それぞれの初々しさを楽しませていただいた作品でした。