昭和三十年五月十七日、未整備の中央通りから南を望む。右に農協会館、道を挟んで水九印刷が建つ。近鉄四日市駅の建設はこれからだ。それにしても彼女たちは、どうやってこの水溜りを超えるのか。
同じく、東へ下がって西方面を撮る。右に見えるのは堀木菓子店。北へ進むと諏訪劇場があった。遠くに四日市工業高校がある。この手前に近鉄名古屋線敷設の準備が進められていることだろう。堀木菓子店前の道路を人が通る。学校からの帰りか?
写真から想像すると昭和三十二年晩秋の早朝ではないだろうか。
新しい駅がオープンして少し一段落した感がある。パイロット萬年筆の看板を揚げる新光堂書店が既に建っている。オカダヤはまだ姿をみせていない。東海ストア開店売り出しののぼりが、川伝いに並ぶ。この川はまっすぐ駅裏に抜けていて、現在駅西に川の続きを見ることが出来る。久保田町で三滝川からくみ上げられた水は、農業用水と下水の役割をしながら、あせち川へと流れていた。植えられたばかりの楠の木が、整備したての中央通りを物語っている。(写真提供 山路昭雄様)