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Channel: 花の四日市スワマエ商店街
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昭和と食の商店街 その7

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床屋の定番は、裏のチェリーさんだったが、一時浮気をしたことがあった。床屋勤めの若い衆が、夜になって我が家へ遊びに来た。ガムをクチャクチャ噛みながら世間話をする。やがて風呂敷包みから道具を取り出し順番に散髪してくれるのだ。どうやらお袋からおこずかいをもらっていたフシがある。闇床屋であった。

イメージです

その若い衆がある晩珍しいものを持ってきた。家族でそれを食した夜の風景が思い浮かぶ。兄が階段の処、姉が食卓の向かい側、おふくろがその横にいた。「なんや!石鹸みたいや!」「くさい!」「結構、癖になりそうや」。それは初めて食べた“チーズ”の味だった。

これまたイメージ

70メートル側に建つ青苑

“餃子”を初めて食べた日のことも覚えている。姉に連れられて“青苑”へ出かけた。これもぐんにゃりした微妙な臭い食べ物だった。焼き餃子はなんといっても“新味覚”で、学生の頃よく友達と出かけた。店から西に行ったところの“のれん街”に二軒あって、路地の中の狭い店は、おばさんが丸い鉄板に丸くならべて焼いていた。もう一軒の店は、通路を入って右に冷蔵ケースがあり、牛乳やビールが入っている。それを好き勝手に取り出し、左のカウンターで餃子を食べた。今も変わらぬ味で営業中だ。東京で“餃子ライス”なるものを発見した。それまで単品で食べるものと思い込んでいたが、ご飯のおかずになることを知った。餃子の単品食いは“新味覚”が生んだ四日市文化かも知れない。


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